火葬の意味や火葬場でのマナーを子どもに解りやすく説明する方法

2019年6月17日

『葬送人だより』を書いているブログ管理人の仕事は、火葬場の業務をすべて行っています。
大人の人はみなさん「ありがとう」って、言葉にしないまでも深々とお辞儀をされて斎場を後にされます。

火葬に来られた中には、子どもさんの姿を見ることがあります。
ご家族と一緒に骨拾いをされる子どもさんは、火葬場の光景はインパクトがあり過ぎるのではないでしょうかね。

火葬される瞬間に立ち会って、火葬されて遺骨になって出てきます。
そして、最後は収骨の儀式まで、大人に交じって骨拾いしています。

大人は、子どもに、火葬の意味を宗教ではなく、分かりやすく説明できるようにしておくことも大事ですよね。
難しい大人の宗教論は子どもには伝わりませんよね。

  • 大人が知るべき火葬の知識
  • 子どもに火葬について解りやすく説明する方法
  • 大人にも子供にも予備知識

 
それでは、ごいっしょにどうぞ。

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大人が知るべき火葬の意味

日本の火葬率は99%を超えるていると言われます。
都内の火葬場の予約状況をみてもわかるように、荼毘にふすまで相当な時間がかかります。

明治6年に「火葬禁止令」が出されたとあります。
それは、火葬による煙や臭いが問題になったようです。

ところが、土葬となると土地の確保が難しくなってきます。
都内で土葬で埋葬するには、お金持ちしか葬式できなくなってしまいます。

土葬のための土地問題で、「火葬禁止令」はわずか674日で廃止されることになります。
そして以前から行っていた火葬が再登場することになりました。

この話は、関東でも都市の中心部の話であって、東北・関西・九州など地方では、土葬は1960年ごろまで行われていたと思います。

宗教(仏教)と火葬の関係

キリスト教やイスラム教、儒教の勢力が大きい国では、それぞれの宗教の考え方に沿って現在も土葬が行われています。

日本では仏教の普及により、火葬が伝わって、火葬は、火葬設備の整備が進んだこともあって広く行われています。
火葬と仏教の関係が強いように読み取れますが、実際、大方の現代人の考えは『葬式仏教』だと思っていいでしょうね。

日本人は宗教に関して、信心深いとは言えない国民ですからね。
家族・知人が亡くなったという知らせととともに、葬儀関係者によって葬儀が滞りなく行われていきます。

そして、あなたもどこかでいつの間にか仏教になっているところがありませんか?
輪廻転生という考え方が自然と信じられています。



 
『千の風になって』
が国民に受け入れられたのは、亡くなったあとも他の体に移り、生まれ変わってこの世に現れると考えられているからです。
つまり遺体は、抜け殻であって魂は他にあると言っているのでは。

そうですね、遺体とか遺骨とかに固執し過ぎると、物事が前に進まなくなってしまいませんかね。
誤解しないでほしいのですが、決して遺体とか遺骨とかお墓を粗末に扱ってもいいというのではありません。

自然宗教がベースとなった日本人の信仰
しかし、上記のように創唱宗教の影響もある程度はみられるが、概して日本人の信仰のベースは自然宗教だと阿満氏は述べている。人々は土地や家の神々を礼拝するが、教義はあまり発達していない場合も多い。「無宗教」とは何かを考えてみると、広い意味で神道といえるかもしれないし、民間信仰といえるかもしれない。まずは自然宗教の影響があり、その後に創唱宗教の影響を受けたにもかかわらず、それがしっかりとは根付いていない。そのため強い創唱宗教に出会うと何か戸惑ってしまい、自分は創唱宗教にはなじめないと考える日本人は多い。それが、狭義の「宗教」(創唱宗教)を信じていないという意味で、多くの日本人が自らを「無宗教」と言う理由になっている。

 

火葬は法律で決められてる?

日本の現法律で、火葬でなければならないと決まってはいません。
しかしながら、埋葬許可証を発行するのは自治体にあります。

できるだけ、土葬を避けたいというのが各自治体の本音です。
そのため、細かな決まりを作って火葬にしたほうがいいということになるように仕向けています。

このように様々な理由から実際のところは土葬は難しいようです。
また、特別に宗教上の理由で土葬を認めている霊園もあります(イスラム圏)。

どうしても土葬でなければ・・・という人は『土葬の会』に相談されてもよろしいかと。

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子どもに火葬について解りやすく説明する方法

子どもたちに火葬について解りやすく説明するために、土葬についてのデメリットをあげていきましょう。

  • 土葬には多くの土地が必要である
    都内や地方都市では、住宅状況が悪いのは、土地の面積が狭いから
  • 衛生面の問題
    土葬されたご遺体が腐ると、地下水に及ぼす影響がある
    日本では過去に、土中に埋められたご遺体が原因で感染症が起きる
  • 動物が土葬の遺体を掘り起こす
    腐乱して全体が骨だけになるのですが、途中で動物が遺体を荒らす

 
火葬意味
今の子どもたちには、現実的にしっかりと理解して貰えるように説明しましょう。

妙に天国だとか、神様とか、物語的にして説明しなくてもいいと思います。
子供だと思って、昔、昔の話を自分でも理解していないものを説明しても伝わらないように思えます。

ただ、故人への感謝の気持ちは伝えましょう。
子どもさんは、直接、感じ取ることのできない部分、そうですね、

「亡くなったおばあちゃんのお陰で、お母さんやあなたの今の幸せがあるのよ」

といったことでしょうか。

火葬場での子どものマナー

家族が核家族化されて、日本人が代々受け継いできた家族に対する愛情が薄くなったといわれる今日です。

火葬場で勤務する私は、子どもさんの火葬場でのマナーで、家族愛の深さを感じとることができます。

それは、骨拾いの儀式でわかります。
子どもさんは真剣に、亡くなった祖父や祖父母の骨に願いを込めて骨壷に納めてくれます。

そのとき、ここの家族はまとまっていて、『おばあちゃん幸せだったんだな』と。
もちろん、年齢にもよりますけど。
 
年齢的に言えば、早くて4歳~5歳であれば、家族の空気を読み取る力があると思っていいでしょう。
これは本能的に感じる部分ではないでしょうか。
 
子どもたちの成長は、日々の接し方で理解力がアップまするとまで言われています。
「孫にもおじいちゃん、おばあちゃんと最期のお別れをさせたい」と考えるご両親であれば、家族でよく話し合ってください。

子どもに教えるマナー

子どもにマナーを事前に教えてあげるのことが大事です。
大人の人が教ないと、子どもは火葬場や葬儀場でのマナーは知る方法はありません。

  • これから行くのはどのような場所なのか
  • 火葬場は最後のお別れの場
  • 自分たち家族・親族だけでなく他の家族もいるので、迷惑にならないようする
  • 斎場では、飛んだり跳ねたりして遊びまわらない
  • お菓子や食べ物を持って歩かない
  • ゲームなどは会場ではしない
  • 歌を歌ったり、壁をたたいたりしない

 

一番気を付けなければいけないのは、大人たちの方です。
「小さな子供なのだから多少は大目に見てもらえる」という感覚は、敏感に子どもは感じ取ります。
 
もし万が一、子供が騒いでしまった場合には、謝罪をする姿勢があったほうがいいです。
それだけ、ご両親も「緊張感をもっている」のだという気持ちが伝わりますから。

大人にも子供にも予備知識

アメリカの埋葬方法
アメリカでは土葬が中心。
火葬も行われています。
ただし、日本よりもはるかに火力が高い火葬炉で焼き上げられるので、骨の形はほとんど残らず遺灰にしてしまうといいます。
 
中国の埋葬方法
埋葬方法は土葬または火葬が行われています。
日本と同様に、土葬を禁止しているところもあります。

インドの埋葬方法
火葬後の遺骨はガンジス川に流します。
また、火葬せずに遺体を川に流す水葬もあります。
火葬もせずに遺体をそのままガンジス川に流してしまう方法です。

パキスタンの埋葬方法
遺体を白い布で包んで、棺はありません。そのまま土葬する方法です。

イタリアの埋葬方法
イタリアは基本的にカトリックの国です。
教会の教義に従って土葬になります。

フランスの埋葬方法
フランスは基本的にカトリックの国です。
従って土葬になります。

ブラジルの埋葬方法
ブラジルは土葬です。
24時間以内に土葬しないと罰せられます。

ロシアの埋葬方法
ロシアは土葬です。
棺桶に入れて土葬します。
墓穴は棺桶を売った人が掘ります。

スペインの埋葬方法
スペインは土葬です。
日本と同じく、葬儀料金が不明だとか。

カナダの埋葬方法
カナダは土葬です。

このように世界の大半が埋葬するのは土葬ということがおわかりいただけましたでしょうか。
どうしても、習慣とか慣習と言われるようなものは、自分たちの習慣が正しいと思いがちです。

日本の火葬は、世界からみると異常なほど、そして完全と言っていいほど徹底されてます。
子どもたちに偏った考えにならないように、世界の状況も伝えてあげましょう。

まとめ

子どもたちに、火葬にする日本流のやり方を、上手に説明できればと思って記事にしました。
大人でも無宗教というのが大半で、葬儀のときにあわてて、自分の家の何宗かを聞き出すという始末ですから。

実は、私は仕事柄いつも斎場にいるのですが、炉前の最後の焼香に仏教はあるのですが、キリスト教の礼拝はありません。
今度、役所の人が来たら聞いてみます。


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火葬

Posted by matuopride