喪服は黒にいつから変わった?以前は「にびいろ」だったという

2019年10月6日

おはようございます。
『葬送人だより』ブログ管理人のkandumeでございます。

今日は、先日の火葬斎場に参列者の中に茶髪の男性が多くみられました。
そこで、

  • 葬式・斎場での喪服の黒について決まりがいつからできたのか。
  • また、その前後の喪服の様子はどうだったのか。
  • 「にびいろ」とはどんな色なのでしょう

 
といった、喪服が黒にいつから変わったのかを調べてみました。
 

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欧米が喪服の色を黒にしたわけ

ブログ管理人のkandumeは、火葬場で働きながら僧侶のお経を毎日のように聞いています。
ところが、ブログ管理人のkandumeには、僧侶のお経はなぜだか心に響きません。

心に響いて聴こえたのは、本田美奈子さんの『アメージング・グレイス』でした。


 
明治維新(文明開化)の頃から、日本では欧米文化をことごとく摂り入れるようになりました。
その時代の欧米での喪服は、黒が基本とされていたといいます。
明治政府は、皇室の喪服を正式にと規定しました。

欧米で喪服を黒とした理由には、故人への悼み悲しみからではありませんでした。

欧米での昔の人は葬式に行くと、そこに死者の霊魂がいて、明るい服を着ていけば、死者の霊魂が乗り移るとの迷信を信じてました。
そこで、黒服で変装すれば、死者の霊魂が移らないというわけです。

そうです、死んだ人への「悼み」からではなく「恐れ」から、自分の身の保身に黒を着るようになったとされてます。
皮肉なもので、欧米の進んだ文化を取り入れたつもりが、霊魂などと言った迷信に左右されるとは・・・(汗)。

日本の古代の喪服は白かった?

平安貴族は、喪服に「鈍色(にびいろ)」という濃い灰色を使っていたと言われます。
「鈍色(にびいろ)」とは、どんな色かと調べてみたら、下のような鼠色です。

喪服黒いつから色相としては、墨色の淡いものから濃いものまでがあり、平安時代は近しい人に不幸があったときに着用する喪服の色でした。

そこから中世末〜近世の頃に、白い喪服が着られるようになったといわれてます。

庶民の間ではつい最近まで、喪服はが主流でした。

ところが、日清戦争や日露戦争で多くの戦死者がでて、葬儀の参列が多くなってしまいます。
喪服の出番が多くなりすぎてしまうことに。
そこで汚れが目立たない黒にしよう、と貸衣装店が汚れの目立たない黒に統一してしまいました。

大正4年には、宮中に参内する時には基本的に黒喪服、と定められています。

そして民衆の間でも、第二次世界大戦が終わる(1945年頃)と「汚れが目立つ・・・」ということで黒喪服が定着化していくようになります。
つまり、黒喪服の伝統は長くて100年程度しかありません。

ちなみに、余談にはなりますが、喪服の黒というだけでなく、お墓、土葬、火葬なども年数的に100年程度しかないのです。
今、お墓の廃棄で環境問題になっていますが、お墓が作られるようになったのは明治の後半頃からだと言われてます。

最も、身分の高い人は別なのですが、庶民は火葬が始まったのも100年程度の時間しか経過していません。
葬儀のマナーにつきましても、ここだけのお話ですが、あまりに窮屈なマナーは亡くなった故人のためではなく、誰のためなのかと考えてしまいます。

火葬場で働くブログ管理人のkandumeですが、イヤリングしてようが、茶髪であろうが、故人にお焼香をしてお別れのあいさつをしたいとおっしゃるのであれば、故人は嬉しいと思いますよ。
あまりにルールを決めつけ過ぎてはいけませんよね。
 

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西洋ではルネッサンス時代から黒

西洋でも、古代から一貫して喪服は黒と決まっていたわけではありませんでした。
遡ってみると、ルネサンス時代に始まり、黒い喪服が主流となっていったといわれてます。

中世の頃までは、「黒」というイメージはマイナーでネガティブという印象が強く、衣服の色に黒を使うことは滅多にありませんでした。
使ったとしても、カトリックの修道士が黒っぽいウールの服を着る程度でした。

当時のヨーロッパで着用された喪服の色は、黄色や黄褐色、白、菫色が一般的であったと言われます。
よくよく調べてみますと、黒という素材(色)がこの時点で存在していなかったというのが事実です。

染色技術の発達で鮮やかな黒を作ることに成功したことによって、黒のネガティブなイメージが払拭されていきました。
黒の染色技術が発展し、「上流社会で通用する」黒の布地が好まれるようになって、生産量も増えていった大きな要因だったようです。

こうした時代背景の中から、黒い喪服は誕生したのです。

「美しい色としての黒」を喪服の色の一つに採用した背景には、一種の社会規範の変化もあった。
それまで死という霊魂が付きまとうと考えられてきたマイナスの感情「否定すべき感情」「悲しみ」の捉え方が変わります。
死に対する考え方が、極めて自然な感情であり、否定すべきではないとするようになったことです。

ただ、欧州のフランスではその後長く経った、19世紀の始め頃まで、富裕層を中心に、白と黒の縞模様や、灰色、女性用の喪服にみられる白いフリルなど、黒一色でない喪服も普通に着用されてきた。
このように、欧米だけでなく、国や地域によっても、黒い喪服が一般化する時期には、結構差があったようです。

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まとめ

日本では黒い喪服になったのは、明治時代からですので100年程度です。

葬儀の形態も葬儀の喪服も、その時代背景で大きく変わっています。
あまりに、しきたりやマナーといったものに捉われすぎないでよろしいのではないでしょうか(汗)。

 

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