火葬後の骨上げの流れやポイントを火葬人目線で詳しく解説します
こんばんは。
『葬送人だより』ブログ管理人kandumeでございます。
今日は6件の火葬のお見送りを済ませました。
火葬から収骨の準備が整うまで、およそ1時間30分ほどの時間がかかります。
個人差はございますが、平均するとこれぐらいの時間となります。
火葬が終わり、待合室のロビーでお待ちの皆様に館内放送が流れます。
軽いお食事やお酒で、待ち時間を費やしていたご遺族やご親戚が収骨室に集まってきました。
「火葬後の骨上げの流れやポイントを火葬人目線で詳しく解説します」といったタイトルで記事にしていきます。
火葬場の係員として働く、ブログ管理人kandumeの作業とともに感じるマナーを素直にお伝えしていきましょう。
火葬の流れと所要時間
ロストルの鉄は真っ赤になったまま・・・。
火葬炉の中を覗いて、燃えるものが無くなったら、火葬炉内は赤い色と白い骨が溶岩に浮かんでいるように見えます。
このときが火葬の終了になります。
自動火葬というシステムですが、いい骨にするために係員の手作業は欠かせません。
ロストルとは、日本語で言えば五徳(ごとく)みたいなもので、鉄でできていて、棺がこのロストルの上に乗っかって炉内に入ります。
空気と炎が、棺桶の上からと下からよく回るようにするための必要なものです。
どうして火葬後に10分置く必要があるの?
これは、作業上の安全面から、10分間、冷却の時間が設けられています。
平たく言えば、(炉内の温度が高すぎて危険ということ)ですね。
火葬状況の時間は、すべて火葬日報に記載されます。
- 火葬開始
- 火葬終了
- 冷却時間
- 収骨終了
- 全体終了
- 燃料消費量
火葬終了から10分間、炉を冷却してから、火葬炉の扉を開けて、骨をきれいに並べていきます。
このときの作業が係員にとって、一番大変な作業です。
火葬炉の熱に悩まされながら、火葬後の残灰の処理作業へとすすめます。
この作業を整骨といいます。
地方地方で整骨をやるところと、やらないというところがあります。
整骨とは、棺に入ったときの骨の状態にして並べる作業です。
炉を10分ほど冷却したといっても、炉の温度は計ったことはありませんが、骨の周りには真っ赤な置火が赤々と燃えています。
骨は素手では持てません。
厚い軍手2枚重ねで、熱い骨を数秒持てればいい方です。
とにかく熱い!!
全ての骨を収骨台の上に並べていきます。
7分程度の作業です。
まさに、理科室の標本通りに、きれいに整骨します。
膝関節治療の後とわかる鉄の塊が、骨に付着して出てくることありますよ。
収骨の流れはどうなっている
収骨の儀式は、そんなに硬く考える必要はありません。
だからと言って、みんなで勝手に骨壺に骨を拾って入れればいいという訳でもありません。
収骨の流れを追ってみましょう。
- 収骨の準備が整う
- 収骨室に集まる
- 係りがすべて案内します
- 遺骨の全体的な説明
- 遺族で骨壺に遺骨を納める
- 最後に係りが頭部を入れる
- 骨壺の蓋を最後にする
- 白木の位牌・写真・骨壺を持って退場
係員に収骨室に案内されますので、自分で考える必要はありません。
すべて係員に促されるとおりに進みましょう。
整骨された故人との面会ということになります。
変わり果てた故人と出あうことで、死というものの受け入れの段階が新たに付きつけられる瞬間です。
棺桶に入った故人を火葬炉に見送ってから、1時間30分。
人は生きる力を持っていて、骨になった故人と正面から向き合っていくことになります。
それまで目を赤くして泣いていた人が、火葬場の係員の言うことを素直に聞いてくれる瞬間でもあります。
骨を入れるのはどの部位から?
骨壷に納める時、頭から収めたら、骨壷に逆立ちしている状態になりますよね。
だから、骨壷に納める順序は、足元から入れていきます。
整骨で並んでいる足下の方から入れていきます。
当然といえば当然な話ですね。
ずっと故人は骨壺の中に眠ることになりますので、逆立ちの状態では辛いものがありますよね。
並べられている足のつま先、踵(かかと)といった部分から始めます。
脛(すね)→膝→膝の皿など小さくなった部分から入れていきます。
この辺りまでの骨を骨壺に入れると、後は係りの人が入れてくれます。
骨上げをする人の順番に決まりはあるの?
最初に故人と血縁関係が深い人から・・・。
となっていますが、決まりはありません。
誰からでもいいですよ。
でも、喪主さんからすすめてもらいましょうね。
よくある問題が、収骨に集まっている人の中で、故人との関係をとても気にする人がいます。
血筋でお互い譲り合って、収骨が進まないことがよくあります。
喪主以外は、そんなに気にしないで大丈夫です。
みんな知りませんから。
それよりも大事なことは、火葬場には多くの人が分刻みで働いています。
火葬する人はもちろんのこと、葬儀から火葬場に向かう連絡を受ける人。
連絡を受けて、棺桶の受け入れを待つ係の人。
火葬とともに待合室の準備をする人。
待合室の掃除をする人。
これらの多くの人が係わっていて、故人が無事にあの世とやらの準備ができるようにすることが大事です。
なぜ二人で骨を拾うの
これも決まりはありません。
すべて習慣・慣習といった習いです。
一般的には、あの世とこの世の橋渡し・・・とか、言います。
この世はわかりますけど、あの世の人は誰??
また、一人で骨を摘まむと、祟りが一人に集中するので、二人に分けるためという迷信。
また、宗教によっては二人で骨壷に入れることを嫌う僧侶もいます。
そんな時は、葬儀社から前もって火葬場の係に知らせてくれます。
浄土真宗では、人の死は、生きる者の常と考え、決して汚らわしいものではないという考えがあります。
ですから、二人で骨を拾うなどという行為は出来ません。
一人で拾っていただきます。
お清めの塩、お清めの酒といったものは、浄土真宗では許されません。
よくある話ですけど、火葬場ではみんなと同じことを黙って真似ていればいいのです。
無事に収骨式が終われば、故人はあの世に行きつけますから。
貴方が、1人で骨を拾うのが好きとか嫌いとか言っている場合ではありません。
亡くなった故人が成仏できるようにしてあげましょう。
宗教のルールなどは、その時のルールで時代時代で変わってきたものですから、深く考える必要はありまあせん。
なぜ骨壷を布で包むの?
よくテレビで時代劇なのに、胸から骨壷を白い布で首から下げているシーンがあります。
亡くなった妻や夫の遺骨を抱いている場面です。
この時代は火葬は行われていなかったので、骨壷などありません。
白い布で首から下げるなんて・・・。
ところが、現代の骨壷を見てみると、木箱の中に骨壷が入っていて、その中に白い1m四方の布が同梱されています。
まさか、首から下げるの??
違います。
これは、木箱の上に白い布を広げます。
次に収骨した骨壷を白い布の真ん中に納めて、木箱と布、そして骨壷といった順になります。
骨壷を木箱に納めたら、次に白い布の四隅をきれいにしてたたみます。
木箱の蓋をして終了です。
白い布の役割は、納骨するときに重要な役割をしてくれます。
白い布がなければ、中の骨壷を取り出すのは容易ではありません。
木箱の蓋を外して、白い布で骨壷を包むようにして持ち上げると骨壷が簡単に取り出せます。
納骨するときに、業者の人が楽に取れるように布が箱に敷かれていたということです。
収骨室から退場する順番?
収骨室から出ていくときも、それなりの慣習があります。
最初に並ぶ人は白木の位牌を持つ人。
遺影の写真を持つ人。
最後に遺骨を持つ人。
の順序で、収骨室を退場していきます。
後の人は、遺骨の後にゾロゾロと付いていけば、すべての火葬の終了となります。
まとめ
火葬後の骨上げ(収骨)で、骨壷に納める順序は、整骨された足下から骨壷に納めます。
ルールとしては、みなさんがされるようにすれば間違いありません。
火葬して収骨(骨上げ)していくうちに、徐々に故人への思いも変化していきます。
何がどう変化するのか、故人故人の受け止め方で違ってきます。
何かが変わります。
「葬送人だより」ブログ管理人kandumeが最後に申し上げたいこと。
「故人となられた方の死を引きずらない」ということが大事です。
思い出として残すのはいいことですが、「引きずる」ということはよくありません。
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