妊婦はお葬式に出ない方が良い!そう考える根拠を掘り下げて伝えます

こんにちは。
『葬送人だより』ブログ管理人kandumeでございます。

昨日は友引の翌日ということで、火葬場にはいつもより多くの棺が荼毘にふされました。
その中で、意外にも葬式に妊婦さんの参列が何故だか目立ちました(偶然だったのでしょうけど)。

そこで、気になったのが、葬儀社の担当者が発した一言でした。

「昔は、葬式に妊婦さんは出ないのが常識だった」

最近は、葬式に妊婦さんが出ないというのは、すべて「迷信」という2文字によって片付けられていてkandumeは不安を覚えます。

kandumeは、「妊婦お葬式に出ない方が良い!」と言い切りますが、亡くなった方の公衆衛生の面、目には見えない空気感染、エンバーミングなどと言った観点からその「わけ」を記事にしたいと思います。

また、「迷信」についても、先人たちの深い愛情や思いやりが、「妊婦を葬式に参列させない」という智恵が隠されているということも記事にしたいと思います。
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妊婦はお葬式を避けた方が良いと私は言い切ります

さて、見出しにも書いておりますが、私個人の考えとしては妊婦はお葬式を・・・

  • なるべく避けた方が良い

 
このように考えています。

その理由は、亡くなったお体から空気感染をする伝染病を持っていないとは限らないから。

基本的に遺族に死因を聞くのはタブーと言われていますし、告知義務がある訳ではありません。

もちろん、ほとんどの場合は大丈夫です。

ただ、その可能性が無いとは言い切れない。
そうした中で赤ちゃんを守っていくには避けるに越したことがないという訳ですね。

明らかに老衰やガンなどと死因が分かっている場合は考えすぎかもしれません。
ただ、妊婦さん本人やご家族はしっかりと注意して葬式に参列するかを決めることが大切だと私は思っています。

では、実際の処理業者はどのように注意しているか見ていきましょう。

処理する業者は細心の注意を払っている

たとえ、病院で感染症はなく安全と知らされたごお体でも、各種解剖の結果、初めて感染症の保有がわかるケ-スも稀にあり、この場合、判明した頃には葬儀が済んでいたということもあるのです。

病理解剖に見られる感染症
獨協医科大学越谷病院の調査例、同病院および他の大学の病理解剖500例中65.2%にあたる326例に感染症が認められました。
特に感染力の強い肝炎ウイルス、敗血症(MRSA)、結核症等重症感染症は合計72例、全体の14.4%を占めています。
こうしたデータから見てもエンバーミングによる早急な対策が必要です。

 
このようなケースがレアケースではあっても、葬儀後に感染症が分るとしたら、葬儀に参列した妊婦さんは手遅れです。

基礎知識としては、特に空気感染する病原体に対しては細心の注意を要します。

お葬式では、なくなられたお体に触れる訳でもなく、棺に納まった故人に手を合わせて最後にお花を入れてあげただけなのに?
と、不思議に思う人もいるかもしれませんが、亡くなられたお体から空気感染する伝染病もあるのです。

お体からの空気感染症

お体からの空気感染症として、「リケッチア感染症」と「結核」を挙げてみます。

  • リケッチア感染症
    生前、宿っていた風や蚤は体温が低下するとお体から離脱します。
    お体からの直接の感染はありません。
    ところが、寄生していた風などが着衣や寝具に移動するのです。
    そこで、亡くなられたお体からの衣服の着脱や寝具の移動などを行うときには注意が必要になります。
  • 結核
    お体に住み着いた結核菌は、生命力が強く長時間生きています。
    結核菌は感染力が強く、空気感染するので感染予防に細心の注意が必要です。

    目、鼻、気管支の菌は乾燥して、お体の向きを変えたときに放出されます。
    また、衣服の着脱時、納棺時などにも体内から放出されます。

    結核が原因のお体は、高齢者に特に多くみられるといいますから、火葬場に結核菌がゼロではありませんので注意が必要です。

 
ブログ管理人のkandumeは火葬場の勤務ですけど、毎日何人も運ばれてくる棺桶の死因はやはり分かりません。そうした中で、毎日の業務でいくつもの棺に触れていますので、空気感染が怖いと思う時もあります。

業者の取扱い方

専門業者の人たちは、すべて危険な感染症があることを前提に取り扱っているといいます。

血液、体液に触れる可能性があれば常に手袋を着用し、必要に応じては、ガウン、ゴーグル、マスクを着用してます。

手袋を外した後にも手洗いは怠りません。

亡くなられたお体を扱う業者といいますか、専門家といえば、医師(司法解剖・行政解剖・病理解剖)がいます。

そして、警察の検視官が、異状な体に対し事件性の有無を捜査する検視をします。
警察の鑑識担当は、お体を片付けたりもします。
バラバラの体をそれなりに尊厳のある姿に戻してあげたりもします。

身近な人で言えば、看護師さんも亡くなった方の最後のケアをします。

そして、『おくりびと』で有名になった「納棺士」と呼ばれるひとたち。

また、葬儀社の職員もお体に触れることの多い業種です。

さらに、お体の保存に欠かせなくなっているエンバーミング業者。

あまり、聞きなれないお体と関係するエンバーミング業者とは何か、少し見ていきましょう。

 

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感染症を防止するためエンバーミング

死後の腐敗で感染症が問題視される中、腐敗を抑えて感染症を防止するというのが、エンバーミングという技術です。

エンバーミングとは、日本語で「お亡くなりになったお体の防腐処理」や「お体衛生保全」などと呼ばれています。

動物が亡くなると、体内の自己融解酵素や微生物などによって、自然に腐敗処理が始まります。

病原体が原因で亡くなった場合、菌は亡くなった後もお体の中に残り続けて、体内の自己融解酵素や微生物などと病原体が合わさって、病原体の危険性はさらに高まってしまいます。

そしてさらに、お体の腐敗と同時に死肉食性の昆虫も集まり、感染症は拡大の一途をたどります。

そこで、感染症を防止するのが、エンバーミングというわけです。

日本ではまだエンバーミングの普及率は高くありません。
費用面をみてみると15~25万円と高額な施術料金となっています。

今後は、お体の感染防止といった点で大きな役割になっていくと思います。

 

妊婦さんとお葬式の気になる迷信の数々

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それこそ、地域によって無数の迷信があるものですが、代表的なものに絞り込んでみます。

  • 妊婦は焼き場で骨を拾ってはいけない
  • 妊婦は葬式に出てはいけない。もし出るならおなかに鏡を入れておけ
  • 赤ちゃんにアザができる

 
それぞれが本当に迷信と言えるのか。その点に触れていきたいと思います。

妊婦は焼き場で骨を拾ってはいけない

妊婦さんが焼き場で骨を拾ってはいけないという原因で考えられるのは、火葬した骨が完全に焼骨となっていない状態があったからだと思われます。

昔は火葬するとき薪を利用していたので温度が低く、現在のような高温で焼くのとでは問題がありました。
夜に火葬をはじめて、翌朝の午前中に骨を拾うという夜を徹しての作業でした。

妊婦さんが焼けていない骨を拾うのは、お腹にいる子供にも影響を及ぼすのではと・・・。

昔のこのような火葬環境から「妊婦は焼き場で骨を拾ってはいけない」と言われるようになったのでしょう。

妊婦さんが葬式に出るなら、おなかに鏡を入れておけ

昔の人たちは「死」に対する恐れは、今よりも数段に大きなものがありました。

「おなかに鏡を入れて葬式に出席すればだいじょうぶ」という迷信は、どの地方でも言われていて、どうしても葬式に妊婦さんが出なければ行けないときに使われました。

「死者の霊魂が寂しがっておなかの赤ちゃんを道連れにしようとする」
「おなかに鏡を入れておけばそれを跳ね返してくれる」

本当は妊婦さんですので、葬式に出るのは好ましくないのですが、人との関り方でやむをえないというときに「鏡をいれておけば」という一定条件を満たすことで、周囲の人に許しを得たといった感じでした。

赤ちゃんにアザができる

「赤ちゃんにアザができる」という迷信は、これも昔の火葬方式から繋がって、今は迷信のようになったといいます。

昔の火葬のやり方では、薪を数段組んだ野焼きのような火葬が一般的でした。
お体が焼かれていく様子を周りで見ながら、お酒や供物と一緒に朝まで作業します。

このとき妊婦さんは、お体が焼かれていくのをみるのは、精神的によくないことです。
精神的なショックが大き過ぎると、「赤ちゃんにアザとなって残る」と危険と思われてこのような迷信になったと言われています。

 
昔、火葬は身分の高い人がほとんどでしたが、その中に例外として、伝染病などによって亡くなった人は、身分に関係なく火葬するようにしたのです。

まさか、土葬にしてしまうと、伝染病は拡大してしまいます。

そのようなこともあって、火葬場には一般の人は近付かないようにしていました。
ましてや、妊婦さんなどはもってのほか・・・というわけです。

これらは、昔の人のご近所とのお付き合いのなかで、葬式への参列を上手く断ったという言い方が本当みたいですね。

また、ご近所とのお付き合いで、お手伝いという習慣もありました。
今でも、地方ではその名残があると思います。

お葬式では、女性は何時間も炊事したり、他の人の世話をしたりと重労働を強いられていたのです。

そこで一族の長老がいろいろな理由をつけて、お葬式に妊婦さんを「出さなかった」、いや、「出したくなかった」というのが見えてきます。

そしてまた、昔の葬式は畳の上に正座して、何時間もの間、夏は暑く、冬は暖房も整っていないお寺で妊婦の体調には決していいところではありませんでした。

つまり、基本的には「妊婦さんは葬式に出さない」ということです。
 

 

まとめ

科学的にも医学的のにもお体からは、細菌が発生する。

昔は、火葬するのは伝染病で亡くなったお体だけだった。

迷信と言われるような「赤ちゃんにアザ」といった言い伝えは、それなりに一族の家長の愛情と深い配慮からだった。

葬式に、次世代を授かった妊婦さんの参列を認めなかったのは当然のことと言っていいです。

葬式が終わって、妊婦の身体も落ち着いてから、故人のお墓にお焼香を上げに行けば遺族も納得してくれますよ。

葬式会場や火葬場には、細菌がいまでもいると思います。

妊婦さんが葬式に参列するのは、目に見えないリスクがあり過ぎるのです。
『葬送人だより』でした。

 


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